SPECIAL

TVアニメ『キリングバイツ』
村田真哉(原作)・西片康人(監督)・
朱白あおい(シリーズ構成)
シリーズ振り返り鼎談

◆最終話を迎えた『キリングバイツ』!

――TVアニメ『キリングバイツ』オンエア終了、お疲れ様でした。まずはアニメに関わるお二人から最終話放送を終えての率直な感想をお聞かせ下さい。

西片 僕は『キリングバイツ』が初監督作品で、改めてアニメ作りってこんなにも大変なんだなと再認識しました(笑)。スケジュール的には無理のないものだったと思いますが、キャラデザの渡邊和夫さんを始め、制作デスクや設定制作など、今作が初めてという若いメンバーで臨みました。なので作業の物量に押されていましたね。

朱白 脚本を書いている段階からバトルシーンの数に戦慄していました。「本当にこのアクションを映像にできるのか?」と。僕が今まで脚本として携わったアニメで、ここまでバトルが多い作品は初めてでした。

西片 見栄えのするアクションシーンを、毎回必ず配置するように構成していましたからね。アニメ版は原作6巻までと決まっていたのですが、オリジナル部分を足すとちょうどいい分量であったことも幸いでした。

――村田先生はアニメの立ち上げ段階から参加されていたそうですが?

村田 ええ。最初に顔合わせをさせて頂いた時、皆さんから色々な質問を頂きました。

西片 最初に村田先生からアニメ用のアイデアを頂いたり、作画の隅田かずあさ先生にもお話を伺ったりしましたね。

朱白 僕が村田先生とのお話で印象に残っているのは、この作品のコンセプトについてです。祠堂の目的は何なのか…というお話になり、そこで「人間の進化」「ヒトミと野本の成長」というテーマを頂いたんです。それらを脚本に盛り込み、アニメでのヒトミと野本の描写を補強させていただきました。

西片 原作1巻で祠堂が語っていた「野本がヒトミに欠けているものを補ってくれるかもしれない」という台詞の真意について、まず村田先生に伺ったんです。「ラーテル」って物凄く強くて傍若無人で、それゆえに悩みや恐れがない。人間は悩みがあって初めて成長するものだと思うのですが、「ラーテル」の強さを持つヒトミにはまず悩み自体がない。その成長の余地が乏しい部分を、野本が補ってくれるかもしれない…ということなのだそうです。

朱白 これは重要なコンセプトの一つです。激しいバトルは『キリングバイツ』の魅力ではあるけれど、キャラクターを見せていかないとストーリーがまとまらない。だからこそ、村田先生に伺ったお話を脚本に盛り込ませていただきました。

西片 ただバトルを重ねるだけだと殺伐とするだけですが、魅力的なキャラクターが戦うと、そこに面白みが生まれてくる。でもコンセプトを前面に出し過ぎると、押しつけがましくなってしまう。観ている方が気づけばいいな、程度の抑え目な感じを心掛けました。原作の構成を崩さず、隠し味程度に演出を挟む感じで。

村田 僕は人間がやってはいけないこととして、思考停止が一番駄目だと思うんです。疑問を持つことを止めたらお終いというか…。常々、ヒトミはそうならないようにしたいと考えています。アニメではオリジナルシーンで野本がヒトミに絡んでいくのですが、それがヒトミに考える機会を上手く与えてくれましたね。原作における祠堂の「ヒトミに欠けているもの」の台詞は、いずれはきちんと言及せねばと思いつつ、「気づけばいいな」程度で放っておいています(笑)。

西片 図らずも、アニメの方で先に拾わせて頂いた形になりました。逆に祠堂の考えを、原作がこれからどう描いていくのか楽しみですね!

朱白 原作は連載が現在も続いているのですが、アニメは話数が最初から決まっていて、12話でオチをつけないといけない。だからヒトミや野本の成長など原作2部以降で描かれていくであろう要素を、アニメの12話に盛り込む必要がありました。ある意味、原作2部のエッセンスを先出しして、それで描写を厚くしています。

――アニメ視聴者は、今後の原作の雰囲気を先に味わっていたということですね。

朱白 そうです。そこが原作とアニメの両方にとって楽しいところだと思います。

村田 オリジナルシーンの使い方とか、アニメは本当に考えられて作られているなぁ…と思いました。その結果、観ている方は何も考えずに楽しめる。そこが凄いです! 僕は読者が深く考えなくても楽しめる漫画を作ろうとしていますが、アニメはそれがさらに強まっていますね。

朱白 「レオ」と「ティガ」のアニメオリジナル描写ですが、あの2人の関係性は村田先生の中に構想があったんです。その原稿をお借りして、8話のシーンに追加させて頂きました。

村田 あれってBlu-ray&DVDの特典になるんでしたっけ?

朱白 ええ。村田先生・隅田先生の描き下ろし漫画として特典に付きます。これはレオとティガのファンは必見です!

――3話の初の活躍など、他にもアニメオリジナルが見受けられますね。あれらはどのように作られたのですか?

朱白 最初に村田先生から頂いた「ヒトミと野本の成長」というコンセプトを厚くするために、2人の絡みをスパイス程度に加えたもの、「レオ」と「ティガ」の関係性のような、既にあるアイデアを頂いて作ったもの…と、様々ですね。初はというと…。

西片 初は原作での出番は遅めですが、アニメでは最初からヒトミ・エルザ・初の3人を前面に据える意図があり、早い段階で見せ場を増やしました。しかもアニメは第4話で「獣獄刹(デストロイヤル)」に入ろうということになり、直前の第3話の半パートがちょうど空いたので、そこに初が自然に収まりました。

朱白 今回のシリーズだと島で戦うシーンが長くなり過ぎるので、「獣獄刹」は4話以降にさせて欲しいとお願いしました。一方でアニメの初は最初から存在感を出しておきたかったので、チームに入るまでのドラマを書くことになりました。原作にあった岡島に土下座されて仲間になるシーンを、オリジナルとして膨らませたんです。

西片 初の2部で出ているお調子者の要素を、アニメでも使わせて頂きました。オリジナル展開ということもあって、村田先生には3話の脚本会議に参加して頂いて。その時はまず最初に「敵キャラをどうしよう?」となりましたね。

朱白 そこで既に村田先生がお持ちだった「ツノトカゲ」のアイデアを頂きました。

西片 原作では1部の終盤で登場する、角供のボディガードの女性です。双子というアイデアも一緒に生まれました。3話で倒されたのに、終盤でまた出てくるのはおかしい。だったら双子にしよう…と(笑)。ちょうど初のウサギの能力である聴力を勝機に繋げることもできました。

村田 敵キャラはこちらで考えましたが、キャラの描写とかは割とお任せで、あまり口出しをしないようにしていました。観ていて2部の印象を凄く汲み取って作って頂いていると感じました。初って、こんなにアホなキャラだったとは…(笑)。

――8話の「レオ」と「ティガ」のオリジナルシーンは、既に構想からあったとのことですが?

村田 「虎とライオンはどちらが強いのか」というのは永遠のテーマですからね。避けては通れません。だからこそ考えていました。

西片 『キリングバイツ』では「レオ」が王者で、「ティガ」がチャレンジャーという描き方ですよね。

村田 そうですね。でも、実は本当はどうなのか分からないんですよ。原作2部でも描いていますが、古代ローマで行われた戦いだと虎の圧勝だったんです。でもそこで戦ったライオンは弱いはぐれライオンなので、公正に判断できない。だからこそ面白い。どこかの大金持ちに試してもらいたいです(笑)。

朱白 僕は「レオ」と「ティガ」の関係性が本当に好きで、男なのにあの2人に萌えてしまうんですよ(笑)。「ティガ」なんて「レオ」が好きすぎて、「レオ」の敵討ちのために「ラーテル」と戦うんですよ?

◆目指すは「深夜の格闘番組」!

――村田先生はアイデアを出しつつも、アニメ制作についてはお任せだったとのことですが。

村田 そうですね。漫画とアニメは全然別物という意識があって、だったらプロにお任せしたい。そして実際に上がった作品を観て、本当に素晴らしいと思いました。

西片・朱白 ありがとうございます!

村田 これは立ち上げの頃ですが、アニメ版の『キリングバイツ』は「深夜に格闘技を観るような感覚で楽しめる作品にしたい」という指針を頂いたんです。僕は最初、それがどういうことか分からなくて。脚本を読んでみても、原作に忠実に作られていますが特に変わっていないというか…。で、実際に蓋を開けてみると、凄い実況が楽しいアニメになっていました。

西片 深夜に放送される格闘技イベントみたいな感じですね。最初はこちらも手探りでしたが、作っていく内に「この作品をアニメにするなら、この指針が正しい!」と感じるようになりました。物語やバトルのテンポ、サービスシーン、実況のテンション、そして音楽ですね! 音楽は格闘技イベント「PRIDE」 のオフィシャルテーマ曲を作られた高梨康治さんにお願いしたのですが、見事にハマり、作品のテンションが一気に高まりましたね。

朱白 原作が異種格闘技もので相性が良い上に、それを深夜のプロレス風に見せるために、話を小道具として使っているんです。どんなキャラクターが、どんな流れで、どこで戦っているのか。そこには実況する人がいて、そして細かいですが意外に重要な点として、スポットライトが点く!(笑)これがあるかないかで試合感が全然違う。

西片 バトルをショーアップすることによって、格闘技の試合みたいな楽しみ方が生まれてくるんです。

村田 そうかぁ、なるほど…。1話で「ラーテル」と「レオ」が戦う場面を観て衝撃を受けたんです。最初に皆さんが仰っていた「深夜の格闘技みたいにしたい」という言葉が、「ああ、こういうことだったのか、スゲエ!」と分かり戦慄しました。確かにライトは重要ですね。アニメの要素として野本や初のキャラを見せる点も、戦いの前のキャラ付けとして納得できます。あと驚いたのがバトルシーンの長さ! 漫画だと一撃決着なところがあるので。

西片 アニメにした意味はそこもありますよね。バトルを動きで見せられる。

村田 脚本は変わっていないようで漫画と全然違う。素晴らしいです。

――『キリングバイツ』の素晴らしいアクションシーンですが、作り方の秘訣はありますか?

西片 僕はこれまでバトル作品の演出を長いことやってきて、スーパーアニメーターに頼らないアクションを常に模索していました。作品を作る上でアニメーターが足りない状況はどうしても出てきて、それでも面白いと思える構成を勉強していたんです。

――例えば、どのようなテクニックがありますか?

西片 単純にバトルをこなすだけだとアニメーターの力に左右されますが、そこにストーリーを織り交ぜたり、作品の特色でもある動物の解説を挟むなどして、テンションに変化を付けているんです。そういった構成の工夫でカッコよく見えるようにしたつもりです。

朱白 『キリングバイツ』は他の作品に比べてバトルシーンが多いうえ、一本一本が長いんですよね。それだけで作画が大変です。

西片 「コブラ」、「ゲッコー」、「パンゴリン」は最初から3Dアニメーションを想定していて、作画量を抑えつつも見栄えのあるシーンが作れたと思います。あとは小道具や戦略を使って、視聴者が考えるポイントを置くことでしょうか。そうすると視聴者も戦いに参加している気分になり、より没入して観てくれるんです。絵の力のみで惹きつけるとなると、毎回スーパーアニメーターに入ってもらわないと(笑)。

――脚本の面からバトルシーンで工夫した部分はありますか?

朱白 バトルシーンはある意味、演出の領域なので、脚本としてできることはあまり多くありません。ですが今回、ナレーションの扱いはよく検討しました。普通のバトル作品だったら戦闘中のナレーションはご法度ですが、僕は『アラクニド』から村田先生の作品を読んでいて、ナレーションが村田作品の味だと思っているんです。これを外すと村田作品ではなくなってしまう。試行錯誤を重ね、最終的にはナレーションをある程度コンパクトにすることと、諏訪部順一さんの神がかったナレーションを要所要所に織り込んでいくことで、村田作品の味を取り込めたのではないかと思っています。あとは中盤以降のバトルでは、キャラクターごとに焦点を当てて、このキャラクターがどういう意気込みで戦っているのか、ドラマの面から戦闘シーンを補強できたらいいなと意識しました。

西片 朱白さんには普通の作品より、脚本のページ数を多めに書いて頂いたんですよ。

朱白 そうですよね。普通の作品だと200字詰め原稿用紙で80枚くらいが1話分ですが、今回は毎回90枚くらい書いていました。

西片 バトルシーンって、テンポよく演出するとどうしても短くなってしまう。その時に尺が足りなくならないように、最初から脚本を増やしておいてもらったんです。

朱白 僕は毎回「これだけの脚本、23分に収まるのか?」と思いながら書いているのに、むしろまだ足りないという(笑)。毎回毎回、40分番組を作っている感覚でした。

西片 第12話は他よりバトルシーンが少ない回だったのに、これまでと同じ感覚で脚本を書いてもらったせいでコンテで大量に溢れて…そりゃそうだよね(笑)。野本の日常描写をいっぱい書いて下さったのに、ばっさり削ってしまうことに。

◆ナレーションと絵で魅せる動物解説!

――アニメ脚本をご覧になって、漫画原作と異なるところはありますか?

村田 漫画原作は簡単なプロットを作ったりもしますが、コマ割のネームで描いています。僕の描きたいことって蘊蓄がほぼ全てなので(笑)、ネームにどう入れるかを考えますね。だからアニメの脚本は蘊蓄を短くすると伺って「大丈夫か?」と思っていたのですが、大丈夫でしたね(笑)。

朱白 ナレーションを文字面で見た時と声に出して読み上げた時って、かかる時間が違うんです。声で読み上げると思った以上に長くなり、そのままアニメにすると、いくら諏訪部さんのナレーションでもキツくなってしまうんです。だから半分くらいに削っているのですが、それでもカバ(「ヒポポタマス」)がどれだけ強いのか十分伝わったはずです(笑)。

村田 漫画だと文字は読み飛ばせるんですよね。あとアニメだと短くすることによって、絶妙にナレーションのギャグ度が増しているように感じました。「ラビ」の蘊蓄なんて、ナレーションに野本が突っ込むじゃないですか。あれもアリなんだって面白かったです。

朱白 あれは初のキャラ性があってできた演出ですよね。

村田 動物解説部分は絵もインパクトがありますよね。

西片 動物の絵はスタジオワイエスさんという、手描きを得意とする美術スタジオにお願いしました。動物の蘊蓄は普通に流しても面白くないので、テイストを変えてみようと思って。実は結構枚数が多く、序盤から悲鳴を上げられていました(笑)。でも、無理を聞いて頂けてありがたかったです。

村田 雰囲気がガラッと変わっていいですよね。しかも動物の絵が上手過ぎて、そこも面白い。2話のラーテルの蘊蓄で、他の動物の縄張りに入って餌を奪う解説がありましたが、そこのハイエナのショボンとした顔が面白くて。「何なんだコイツ…」って言っているみたいで。あと兎が巣穴に逃げ込んだ時の顔も好きです。「また勝ってしまった!」と微妙にドヤ顔しているんですよ。後ろに敵、いるじゃん(笑)。

西片 諏訪部さんのナレーションも凄い存在感でした。ナレーター選定の最中に「諏訪部さんのスケジュールが空いている」というお話があって、「じゃあ、ぜひ!」とお願いしたんです(笑)。アフレコでは最初に諏訪部さんのナレーションを録って、そのテンションのまま他の声優さんたちの収録に臨むんです。

朱白 これは本当にラッキーでしたね。篠崎役の赤﨑千夏さんもそうですが、実況や解説が凄い前に出てくる作品になりました。これは放送を見て盛り上がりますよね。

村田 赤﨑さんも凄かった! 喉、大丈夫だったんでしょうか?

西片 本人的には「気持ちよく張り上げて楽しかったです」とのことです(笑)。

◆演技を見せつけられたアフレコ!

――収録のお話が出たところで、アフレコで特に印象に残っていることはありますか?

西片 本当に色々ありましたが、まず村田先生に毎回お越し頂けたのがありがたかったです。

村田 干渉しすぎないようにと思っていたのですが、アフレコ見学が面白すぎて。つい毎週通ってしまいました。

朱白 収録だと「このキャラはこの演技で合っているのか?」とか、どうしても不安は出てくるんです。でも今作だと、隣に座っていらっしゃる先生に聞けばすぐに正解が分かる。これが大きいですよね。

西片 ヒトミ役の雨宮天さんは女子高生と変身した「ラーテル」、普段のぶっきらぼうな姿と祠堂にデレデレのヒトミ、さらには原種の獣人(オリジンビースト)、そしてその幼少時代……と、何パターンもある役をすべて演じ分けて素晴らしかった。特にオリジンビーストはいきなりパーフェクトな演技で入られたので、収録中はみんな度肝を抜かれていました。インパクト的にはあれが一番凄かった!

村田 ブースが沸いてましたよね。全員がどよめいていました。

西片 今作は多くのキャラクターに変身前・変身後という姿があります。担当声優さんには演じ分けをお願いしていたのですが、どの声優さんもきっちり仕上げてくれて、それぞれの演技の幅を感じられる作品でしたね。

朱白 岡島役の大川透さんには台詞も直して頂きましたよね。

西片 そうですね。脚本の台詞をさらに鹿児島弁に寄せて頂いたりして。完全に本場の言葉にしてしまうと地元の人にしか分からないので、大川さんの方から「どれくらい本場に寄せますか?」とか調整して頂いて(笑)。たまに本当に何言っているのか分からなかった。

朱白 すいません、もう少しだけ標準語に戻してもらった方がいいです、とか(笑)。

村田 「まっくやんせなー」でしたっけ?(笑)

西片 最初それを聞いた時、皆ポカーンでしたよね(笑)。「待ってください」という意味らしいんですけど、誰も分からない。

村田 どの声優さんも素晴らしいのですが、雨宮さんと羽多野渉さんは凄かった。ただ単にイメージがぴったりというだけではなく、「ヒトミは、野本は、こういう人間だったんだ」という発見がありました。勉強になった感じがあります。自分で考えたキャラクターですが、彼らへの理解が深まりましたね。吉野裕行さんの「コブラ」はぴったり過ぎて、逆に発見がなかった(笑)。

西片 さすが吉野さんが演じるゲスキャラ! あの三下感というか(笑)。

村田 声優さんは単に役をなぞらえているのではなく、作品を咀嚼して自分の中にキャラクターを作って、自分の中にあるものを演じているんだな、と感じました。それは漫画を読んでどう解釈して下さっているか、ということでもありますね。漫画とは原稿やそれが印刷された紙そのものではなくて、それを読んだ人の中に湧き上がってくる感情やイメージを指すものだ、と改めて思いました。これは声優さんだけではなく、脚本やアニメーションにも全て言えることです。アニメ『キリングバイツ』は、西片さんたちが持つイメージの産物なんですね。

◆「押絵ちゃんコーナー」制作秘話!

――ここで定番の質問ですが、お気に入りのキャラクターを教えて下さい。

西片 どのキャラも好きですが、3人娘の中だとエルザです。両おさげの外見が好みなので。あとは眼鏡好きなので篠崎、押絵ちゃん…結局外見なのか?(笑)

朱白 篠崎は脚本を作っている段階で、監督のお気に入り感が伝わってきました。

西片 いや~、だって眼鏡でポニテで巨乳ですから! 作品としても、獣獄刹以降の物語の軸を作ってくれたのは彼女でしたし。作品のテイストにも篠崎の影響があると思うんですよ。しかも終盤には篠崎自身の結構いいシーンもありました。

朱白 僕は篠崎はもちろん大好きですが、女性キャラだと初ですね。オリジナルシーンを書いた思い入れがあるのと、バカな子が大好きなんです(笑)。しかも初が出てくると作中の空気が変わって、いい清涼剤にもなってくれる。男キャラだと「ティガ」ですね。先程言いましたが、「レオ」に対する大好き感。変な意味ではなくて、少年誌的な見方でもあの2人の通じ合う様子は好きですね。

村田 僕がアニメを観て思ったのは、押絵ちゃん、可愛過ぎますよね!

西片 押絵ちゃんのコーナーは若手の演出に担当してもらったのですが、本編と切り離されているからはっちゃけて、声優さんもノリノリで演じてくれました。あそこだけ別番組として、音楽も専用のほんわかした楽曲を作ってもらいました。

朱白 脚本も「押絵ちゃんは獣人でも何でもない!」で締めることを前提に考えています。7話以降はオリジナルで加えさせて頂きました。「獣獄刹」開催が決定した後、押絵ちゃんは何をやっていたのか…と。

村田 僕の中で「ラーテルといえばミツオシエ」という共生関係が頭にあり、何かしらミツオシエに関するものは作らねばと思っていたんです。ちなみに最初のネームで押絵ちゃんはヒトミに対して普通の雰囲気でしたが、奥さん(漫画家)に「百合っぽくした方がいいよ!」と助言されて、今のヒトミが好き過ぎる押絵ちゃんになりました。

――なぜアニメCパートを押絵ちゃんコーナーにしたのでしょうか?

西片 ただ殺伐とするだけの作品にはしたくなかったんです。「女子高生と最強生物の合体」がコンセプトの作品ですが、獣獄刹に入ると女子高生要素が少なくなってしまう。なので普段の様子を入れたかったんです。凶暴な女が戦うだけではない、最初のコンセプトを視聴者にも常に意識して欲しかった。押絵ちゃんコーナーは女子高生としての生活を描くためのものでもあります。

朱白 ヒトミは夜の世界では戦っていますが、女子高生として日常生活も送っているんですよね。普段、どんな女子高生なんでしょうか?

村田 えーと…どうしているんでしょうね(笑)。友達いるんですかね?

――それでは最後に視聴者へメッセージをお願いします。

西片 僕は動画サイトで動物のほんわかした映像を見るのが好きなのですが、ほんわかだけではなく動物から元気をもらいたいと思った時は、ぜひBlu-rayやAmazonプライム・ビデオなどで『キリングバイツ』を見直してテンションを上げて下さい。

朱白 現在発売中のBlu-ray&DVDで特典ドラマCDがありますが、終盤ではアニメ最終回にも登場した原作2部の主人公・純(ぴゅあ)が登場する脚本を書かせていただきました。そちらもお楽しみに!『キリングバイツ』はバトルを純粋に楽しんだり、動物の生き方に自分を重ねてみたり、色んな楽しみ方ができる作品です。ぜひ皆さんも自分の楽しみ方を見つけて下さい。

村田 アニメを見終えた後は「最強の獣は何なのか?」という思いを馳せて頂けると嬉しいです。…まぁ、マジレスすると象なんですけどね(笑)。でも、そこで思考を止めないことが重要だと思っています。もしかしたら倒す方法があるのかも…という風に、この作品が考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。

――ありがとうございました。